舞城王太郎を推すために読むべき5冊をおすすめ

読書

皆さんは、推し作家がいますか?このサイトでは、人生を豊かにするために推し作家を作る事をおすすめしています。詳しくは「推し作家を作る」という、読書の楽しみ方。で書いています今回は、舞城王太郎先生と、舞城先生を推す為におすすめ5冊と共に紹介していきます。

舞城王太郎とは

舞城王太郎先生は、「土か煙か食い物」や「阿修羅ガール」を代表作とする、福井県生まれの小説家です。プロフィールとして知られているのは、生年・出身くらいで、学歴・職歴・性別などは公表していない覆面作家です。

小説では、初期にはミステリー、現在では純文学を中心として執筆されています。また、漫画の原作や映像作品の監督を務めるなど、その活動は小説だけではとどまりません。

舞城王太郎の魅力

先にも書いた通り、そのマルチな才能が舞城先生の魅力の一つです。しかし、ここでは小説家としての舞城先生の魅力を書いていきたいと思います。舞城先生の魅力を強引にまとめてしまうと、とにかく圧倒される語り口と、常人離れした発想力です。

まず、舞城作品を初めて読んだ人はその書きだしで圧倒されると思います。こう書いて勘違いしてほしくないのですが、圧倒されるのは書き出しだけでなく全編です。どの作家さんにも、書き出しが凄い作品というのはあるかも知れません。しかし、舞城先生の作品では、全作品の全編の文章に圧倒されっぱなしだと考えてください。正直読んでて疲れるくらいです。

そして、その発想力にも参ってしまいます。エピソードやセリフの使い方がとにかく凄いです。発想力が凄いと言っても、アイディアが豊富とか奇抜というような話ではありません。物語に挟まれる台詞やエピソード一つひとつが「普通の人はそんな事考えないだろ」と思うもので、こちらも読んでいて疲れてしまいます。

つまり僕の思う舞城先生の魅力は、読んでいる人を体力を奪うほどのパワー・圧力だという事です。

オススメ5冊

舞城先生に嵌る為には、とにかくその圧力に触れるという事だと思います。そこで今回は、特に舞城先生にぼこぼこと殴られるような作品を5冊選んでみました。その為、今回は読みやすさという点には少し目をつむり選びましたが、強いて言うなら2冊目と4冊目が読みやすいかなと思います。とにかくガツンと来る作品と少し読みやすく心にくる作品、交互に5冊読んでいただき身も心も舞城王太郎に侵されていただければなと思います。

阿修羅ガール

まず一作目は、三島由紀夫賞受賞作品「阿修羅ガール」です。あらすじ、説明は難しいのですが、恋する女子高生アイコが東京(調布)とあの世をまたにかけ大冒険、てな話です。女子高生である主人公の語り口がリアルで斬新だというのが世間の評価で、三島由紀夫賞の選考で宮本輝氏が猛反対したことでも有名です。

この作品を一作目にオススメしたのは、僕が一作目にこの作品をを読んで舞城先生にど嵌りしたからです。この作品を初めて読んだときに僕が抱いた感想は、「なんだこれは」です。とにかく何が何だかで、三部構成になっているのですが、特に第二部の「三門」は意味が分かりません。途中でやめようかと思ったんですけど、何故か最後まで読まなきゃという気分になって読みました。最後まで意味が分からない事は沢山ありましたが何となく、意味が分からないままで感じる、という体験が出来たと思います。これを読めば、もう何作かは舞城作品を読まずにはいられないのではないか。

されど私の可愛い檸檬

二作目は短編集「されど私の可愛い檸檬」です。表題作の「されど私の可愛い檸檬」は、デザイナーを志す主人公が、二転三転しながら、ある程度恋もしながら、生きていく、人生の一部を切り取った様な短編です。舞城先生にしてはパンチが弱いかなとも感じてしまいそうですが、その言葉の使い方からは確かに舞城先生を感じられます。あまり書いてしまうと読み味が変わってしまうのでひかえますが、妙にリアルを感じるストーリー展開だったという感想も持ちました。

実はオススメを選ぶ時、同時期に出版された「私はあなたの可愛い林檎」とどちらにしようか迷いました。しかし、この中に収録されている「ドナドナ不要論」が大好きなので檸檬の方をオススメします。『ドナドナ』など要らんということだ。という一文から始まる 「ドナドナ不要論」は、主人公がドナドナについて、ある男女の心中について、そして人生で起きる事柄について、「かなしみ」を考えるというお話です。舞城先生が、文体だけでなくその考え方や発想で心をガシガシ揺さぶってくる、そんな体験が出来ると思います。

土か煙か食い物

次は、あのメフィスト賞を受賞したデビュー作「土か煙か食い物」です。この作品も、メフィスト賞を受賞しているだけあって非常にとがった作品です。サンディエゴで救命外科医をする主人公奈津川史郎のもとに、おふくろが「連続主婦殴打生き埋め事件」の被害者になった、という知らせが届くところから物語が始まります。四郎は地元の西暁に帰り、父親や兄弟とひと悶着起こしながらその犯人を追う、という風に話は展開していきます。

一応ジャンルはミステリーなんですが正直それどころじゃない。その筆力に、登場人物に、語り口に、展開に、読み手の心はついていくのに必死です。本筋と関係ない話が良い、というよりは本筋が関係ない、というか何が本筋とかない、という感じでとにかくこの小説に書かれている事にはすべてに意味があったりなかったりします。わけわかんないですよね。要するに、凄さが表現しきれないという事です。読んで‼‼

ビッチマグネット

4作目には、芥川賞の候補になった名作「ビッチマグネット」をオススメします。何故かビッチを引き寄せてしまう主人公と弟を守ろうとする姉弟を中心とした、家族愛と恋愛の物語です。

今までオススメしてきた中では、最も正統派な純文学と言えるかもしれません。「土か煙か食い物か」を書いたころの荒々しさは影を潜めていて、そのエネルギーが淡々と燃え続けててじわじわと読み手をあぶってくる。そんな印象を受けました。舞城先生は、何度か芥川賞の候補になっていますが、この作品が最も芥川賞に近かったと言えるのではないでしょうか。舞城作品をエンタメと芸術で分ける事が許されるのなら、「ビッチマグネット」は芸術の代表作です。

淵の王

最後にオススメするのは、「淵の王」です。その魅力を書きたい。が今書き始めて思ったんですが、内容はあまり覚えていません。打ちのめされドキドキしながら読んだことだけを憶えてます。再読して追記します。

「淵の王」の最大の特徴の一つが、二人称小説だという事です。正直この作品を読むまで僕は二人称小説って無理があるよな、と感じていました。そもそも不自然だし二人称である意味もせいぜい語り手は誰かという謎を持たせることが出来るくらいのもんで少し挑戦的な短編くらいが関の山だ、と。しかしこの「淵の王」はそれをやすやすと超えてきました。霊的でありながらも主人公に寄り添う存在の目を通してみる物語は全く未体験なものでした。客観的でありながらも世界に没入出来ること、そして主人公の考えや行動が完全には補足できないことによる不安定さが心をつかんで離しません。安い言葉でごめんなさい。舞城王太郎は天才です。

最後に

今回は舞城王太郎先生について書きました。長々と偉そうに書いたのですが、僕はまだ舞城先生に嵌っている途中で作品も半分ほどしか読んでおらず、有名なところで言うと「ディスコ探偵水曜日」がまだ途中です。そんな感じで現在激推し作家の舞城先生は、確実にここ数年の自分の人生を最高に近づけてくれました。これからもよろしくお願いします。そして、皆さんも良ければ、ぜひ。

コメント

  1. ウロシンケ より:

    「煙か土か食い物」では?「煙か土か食い物か」は確かメフィスト賞持ち込み時のタイトルだったような

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